
家計管理
はじめに
暮らしの中でお金の不安を抱えることは、多くの人にとってごく自然なことではないでしょうか。老後の生活費や病気のときに必要な医療費、介護費用、さらには今の仕事がいつまで続くかといった収入面の心配まで、考え出せばきりがありません。
こうした不安は、完全に消えてしまうわけではなく、準備をしてもなお心のどこかに残り続けることが多いように思います。
それでも、不安に振り回されるのではなく、不安を手がかりに行動し、安心を少しずつ積み重ねていくことはできるのではないでしょうか。
今回の記事では、そのヒントとなりそうな考え方を取り上げてみます。
お金の不安を完全にゼロにするのは難しい
「もっと貯金を増やせば安心できる」「保険に入れば不安がなくなる」と考えることは自然ですが、実際にはどれだけ備えても「これで十分」と言い切るのは簡単ではありません。物価高や年金制度の変更、病気や災害といった予測できない出来事があるため、準備をしても不安が完全に消えることは少ないのです。
ただし、これは後ろ向きにとらえる必要はないと思います。不安があるからこそ「備えておこう」という気持ちが生まれ、実際の行動につながることもあります。
完全に消せない不安は、ある意味で行動を促す合図のような役割を果たしているのかもしれません。
不安の原因を探る
「老後が不安」「お金が足りない気がする」と口にしてみても、そのままでは漠然としていて対処のしようがありません。しかし、丁寧に見つめ直していくと、不安の背景には具体的な原因があることに気づくことがあります。
たとえば──
- 老後資金の不安 → 「生活費が月にいくら必要なのか分からない」
- 医療費の不安 → 「どの程度の自己負担が発生するのか分からない」
- 収入に関する不安 → 「定年後に収入が途絶えたらどうしよう」
こうして言葉にしてみると、ぼんやりした不安の正体が少しずつ見えてきます。
原因が見えると、不安が「扱えるもの」へと変わっていくのです。
原因に対してできることを探す
不安の原因が見えたら、次に考えるべきはそれに対してできる行動です。
老後の生活費が不安であれば、将来の収支をシミュレーションしてみるのも一つの方法です。公的年金の見込み額や現在の生活費をもとに、20年後、30年後までの収入と支出、そして預金残高の推移をキャッシュフロー表として作成してみると、頭の中で曖昧に想像していたお金の流れが数字やグラフで見えるようになります。数字で確認すると「思ったより備えがある」と安心できる場合もあれば、「この部分が不足している」と課題が明確になることもあります。
医療費や介護費用への不安であれば、高額療養費制度や介護保険といった公的制度を知るだけでも気持ちが落ち着くことがあります。
収入がなくなることへの不安があれば、年金だけでは不足する分をどのように補うかを検討するきっかけになります。
こうした行動は不安をゼロにするものではありませんが、不安を小さくし、安心を少しずつ積み重ねる手助けになるのではないでしょうか。
不安をなくすのではなく、不安と付き合う
お金の不安を完全に消そうとすると、行き過ぎた行動につながることもあります。必要以上に貯め込もうとしたり、保険を過剰に契約してしまったりすると、自由に使えるお金が減ってしまい、生活の満足度が下がることもあるでしょう。
大切なのは、不安を消そうとするのではなく、不安は少なからず存在するものと受けとめたうえで、その原因を探り、一つひとつ対処していくことです。
そうした積み重ねは「不安と付き合う」という姿勢そのものと言えるのかもしれません。
おわりに
お金にまつわる不安は、多かれ少なかれ誰にでもあるものです。それを完全になくすことは難しくても、不安の原因を具体的にして、それに応じた行動を重ねれば、安心を少しずつ積み重ねていくことはできます。
不安を否定するのではなく、「準備や学びにつながる視点で捉える」という考え方もあります。そうした見方を持つことで、不安と付き合うための一つの方法が見えてくるのではないでしょうか。
今回の記事が何らかの参考になれば幸いです。
研究者と研究者を目指す方々が、やりたいことをあきらめないでいられることを願って。
