リスク管理

【リスク管理】保険と不安

リスク管理

病気や事故、万一のことを考えたとき、「もし自分に起こったら」と不安になることがあります。

その不安をきっかけに、保険を検討する人も少なくありません。

「がんになったらどうしよう」

「働けなくなったらどうしよう」

「家族に何かあったら困る」

こうした不安から保険への加入を考えることは、決して悪いことではありません。

むしろ、将来の不確実性に備えるために、保険は一つの重要な選択肢です。

ただ、ここで少し考えてみたいことがあります。


保険に入ることで、不安を解消することはできるのでしょうか。

不安をきっかけに、保険を考える

身近な人が病気になった。

ニュースで大きな事故を知った。

自分自身が年齢を重ね、病気が気になるようになった。

そんな出来事をきっかけに、「自分も保険に入って備えておいたほうがいいのでは」と思うことがあります。

これは、ごく自然なことです。

不安があるからこそ、将来に備えようとする。

その意味で、不安は必ずしも取り除くべきものではなく、備えるためのきっかけになるものでもあります。

保険で、不安をどこまで減らせるか

では、保険に入れば入るほど、不安は小さくなるのでしょうか。

ここは少し難しいところです。

例えば、「がんになったら心配だから」とがん保険を検討するとします。

保障額を100万円にするか、300万円にするか、500万円にするか。

500万円あれば安心できるでしょうか。

もしかすると、

「500万円でも足りなかったらどうしよう」

と考えるかもしれません。

では、1,000万円ならどうでしょう。

今度は、

「それでも長期療養になったら……」

と、別の不安が出てくるかもしれません。

もちろん、必要な保障を確保することは大切です。

しかし、「不安をなくすこと」を保険の目的にしてしまうと、必要以上の保障を求め続けることになりかねません。

保険に入ることで、経済的なリスクを小さくすることはできます。

一方で、将来起こるかもしれないことを完全になくすことはできません。

だからこそ、「どれだけあれば不安がなくなるか」だけで保障額を決めるのではなく、別の視点から保障額を考えることも大切です。

「安心できる金額」だけではなく、「必要な金額」という視点でも考える

そこで考えたいのが、「必要な金額はいくらなのか」ということです。

例えば、病気になった場合を考えるなら、

  • 公的医療保険でどこまでカバーされるのか
  • 傷病手当金などの公的保障は利用できるのか
  • 現在の貯蓄はいくらあるのか
  • 病気になった場合、収入はどの程度変化するのか
  • 治療や生活にどの程度のお金が必要になりそうなのか


こうしたことを一つずつ確認していきます。

すると、

「何となく500万円くらい必要な気がする」

という状態から、

「公的保障と貯蓄を考えると、ここが不足する」

という状態に変わってきます。

そして、計算してみた結果、「保険で備える必要はない」という人もいるかもしれません。

反対に、自分の資産や収入だけでは十分に対応できないと分かれば、保険で備える意味が出てきます。

これは、不安を数字に置き換える作業ともいえます。

もちろん、将来のことなので、すべてを正確に予測できるわけではありません。

それでも、「安心できる金額」だけではなく、「不足する可能性がある金額」を考えることで、保険との付き合い方は変わってきます。

不安と計算、その両方で備える

不安があるからこそ、「備えておこう」と思えるのだと思います。

一方で、「不安」に保障額を決めてもらう必要もありません。

不安を感じたら、その不安をきっかけに、まず考えてみる。

「もしものとき、本当に困るのは何だろう」

「公的保障や貯蓄で、どこまで対応できるだろう」

「それでも不足するのはいくらくらいだろう」

そして、その不足する部分を保険で備える。

不安は、備えるきっかけに。計算は、備える金額を決めるために。

どちらか一方ではなく、その両方があってよいのだと思います。

保険の目的は、将来への不安を完全になくすことではありません。

不安が残っていても、もしものときに生活を守れる。

そんな状態をつくることも、保険の大切な役割なのだと思います。

今回の記事が何らかの参考になれば幸いです。

研究者と研究者を目指す方々が、やりたいことをあきらめないでいられることを願って。