
書籍紹介
概要
今回は、女性研究者や研究者を目指す方々に向けて書かれた書籍を紹介します。著者ら自身が女性研究者として出産や育児を経験し、その中でのワークとライフを率直に綴っています。
特徴的なのは、女性だけの視点にとどまらず、男性が育休を取得した事例や病児保育の実情についても扱われている点です。問題に直面したときの具体的な解決策だけでなく、その時の心理面にも紙幅が割かれており、働きながら子育てをする状況を具体的に思い描きやすい内容になっています。
障壁を乗り越えるために当事者がどのような方法を考え、実際に工夫してきたかを知ることができるのも大きな魅力です。
タイトルには「女性研究者のための」とありますが、男性にとっても参考になる内容が多いと感じられました。
印象に残った内容
特に印象的だったのは、育児による収入の減少といった経済的な側面に、実例を交えて具体的に触れられていた点です。類書ではあまり見かけない切り口であり、参考になる部分が多いと感じました。
また、女性研究者本人だけでなく、配偶者のコメントが掲載されている点もユニークです。同じ出来事でも夫婦それぞれの視点や感じ方の違いを知ることができ、読み手に新しい気づきを与えてくれます。
研究者に比較的多いとされる遠距離結婚の実例や、結婚・出産のタイミングについての多様な考え方も紹介されており、固定観念を問い直すきっかけになります。
さらに、キャリア形成に重要とされる30代に出産・育児といったライフイベントが重なることによる停滞への懸念が示され、その際に父親の育児参加が大きな鍵になると語られている点は、実感を伴った説得力がありました。
印象に残った一言
最後に、序章に書かれている印象に残った一節を引用します。
「私が踏み出す気持ちになれたのは、少し先の自分をイメージできたことが大切だったように思います。」p.8
今後も研究者のライフプランに関する書籍を紹介していきます。
研究者と研究者を目指す方々が、やりたいことをあきらめないでいられることを願って。
