【ライフプランニング】平均にとらわれない ─ 自分らしいお金の見方を育てる

ライフプランニング

はじめに

「平均」という言葉は、ニュースや雑誌、インターネット記事などで頻繁に目にします。
「平均貯蓄額はいくら」「投資の平均リターンは何%」といった情報は気になりますし、自分の状況と照らし合わせて安心したり、不安になったりすることもあるでしょう。

平均をどう受け止めるかによって、気持ちや行動が大きく変わることがあります。
場合によっては、不必要なリスクを取ってしまうきっかけにもなりかねません。

今回は、「平均」との付き合い方について整理してみたいと思います。

平均が示すものと、その限界

平均は、全体をひとつの数字で表すことができます。
しかし、データの広がり方が偏っている場合、実態と離れた印象を与えてしまうことがあります。

たとえば「平均貯蓄額」の統計。ごく一部の高所得世帯が全体の数値を押し上げた場合、多くの人の貯蓄額は「平均以下」という結果になりやすいことが挙げられます。

平均が高いことを目にして、「自分は足りていない」と考えてしまうかもしれず、自分の状況について誤解をしてしまう可能性があります。

平均はあくまで全体をならした数値であって、実際の一人ひとりの状況に必ずしも当てはまるわけではないと言えます。

平均との比較がもたらす心理的な負担

平均を見ていると、「自分と他者の比較」をしてしまう場合があります。

  • 平均より収入が低い
  • 平均貯蓄額に届いていない
  • 投資の平均リターンに比べると成績が劣っている

このように比べることによって、不安や焦りが大きくなることがあります。

逆にこの平均との違いが励みになる場合もあると思いますが、特にお金の話題は生活に直結するため、冷静さを保つのが難しいこともあると思います。

「平均=ふつう」という思い込みには注意が必要です。

また、平均を基準にすると「自分にとって本当に必要な水準はどこか」という視点が薄れてしまうことがあります。

その結果、無理な節約をしたり、高リスクな投資に手を出してしまったりするなど、望ましくない行動につながる場合もあると思います。

平均との付き合い方① ─ 自分の基準で判断する

平均は社会全体の目安ではあっても、自分にそのまま当てはめられるわけではありません。

大切なのは「自分の基準で見る」ことだと思います。

教育費がどのくらい必要か、老後の生活費をどの程度確保するのかなど、自分や家族のライフプランを想定することで、平均とは異なる目標を立てる必要があることが分かるかもしれません。

平均と比べて一喜一憂するのではなく、「自分のライフプランから考える基準」と比較する習慣をもつことは、落ち着いて判断するために役立つのではないかと思います。

平均との付き合い方② ─ 中央値や散らばり方にも目を向ける

もう一つの工夫は、データの複数の特徴にも注目することです。

「中央値」という値があります。これはその名の通り、数値を小さい順あるいは大きい順に並べたときの真ん中の値です。

特にデータに偏りがある場合には、平均値と比較して、全体のデータの傾向をより正確に把握することができます。「平均値よりも中央値の方が、自分の感覚に近い」と感じることもあると思います。

さらに可能であれば、データの広がり方(分布)を見て「分布の中で自分はどのあたりか」と把握すると、見方が変わると思います。

平均との付き合い方③ ─ 自分の過去と比較する

他者を含めた平均と比べるのではなく、自分の過去と比べてみることも有効だと思います。

  • 去年よりも貯蓄が増えているか
  • 半年前よりも不要な支出が減っているか
  • 数年前に比べて投資によるリターンが増えたか

こうした「自分の中での変化」を確認することは、モチベーションを保つうえでも役立つと思います。

まとめ

「平均」はわかりやすく、全体の状況を表しているように思えますが、それをそのまま自分の状況を把握する際の基準にしてしまうと、不安や焦りを生むことがあります。

大切なのは、平均以外のデータの特徴にも目を向けること、自分自身の状況やライフプランに照らして考えること。さらに、自分の過去と比較するという視点を持つことで、前向きな考え方や行動につなげられるかもしれません。

見方を変えることで、数字が、冷静に未来を描くための材料になる。

そんな工夫が、自分の状況を冷静に把握して、理想のライフプランを実現していくために役立つのではないでしょうか。

今回の記事が何らかの参考になれば幸いです。

研究者と研究者を目指す方々が、やりたいことをあきらめないでいられることを願って。